最近、へーっと思ったカスタマーインターフェースの例を挙げてみる。
私は時々コンビニのコーヒーを飲む。週に1、2回。どのコンビニのコーヒーと決めているわけではない。セブンイレブンも、ローソンも、ファミマも飲む。要は飲もうと思ったときにそばにあるコンビニのコーヒーを飲むといった感じだ。
最近、ファミマのコーヒーを飲んだ時に気付いたことがある。ご承知のようにコンビニのコーヒーは自分でコーヒーマシンにカップをセットし、購入したコーヒーのボタンを押す(SサイズとかMサイズとか)。先日ファミマでホットコーヒーのMサイズを購入したときのことだ。カップをセットしマシンのボタンを押そうとしたら、ふと次のようなキャッチコピーが目に入った。「今日の気分で 濃いめを選べる」
つまり、スタンダードな味か濃いめの味か選べますよということだ。スタンダードコーヒーのすぐ下に濃いめのコーヒーのボタンがある。同じ値段でどちらかを選択できるようになっている。
うまい!と思ったのは、この「今日の気分で 濃いめを選べる」というキャッチコピーが、「濃いめ」の方のコーヒーのスペースに記載されているのではなく、「スタンダード」の方のスペースに記載されていることだ。
ファミマのコーヒーは、同じ料金でスタンダードの味と濃いめの味を選べるということを知る人は少ないだろう。気づくとしたら、コーヒーを購入してカップをマシンにセットしたときだ。しかしながら、この「今日の気分で 濃いめを選べる」という文言が、「濃いめ」のコーヒーの方に記載されていたらどうだろうか。ほとんどの人は、自分の買ったコーヒーのボタンを押すだけなので、その下のコーヒーのところに記載されている文言など見ない。つまり、濃いめの味を選べるということを知らないまま終わってしまうのだ。しかしながら、スタンダードコーヒーの方に、この文言を記載しておけば、目に入る確率は高くなる。じゃあ今日は濃いめを飲んでみようと、その下の「濃いめ」を選択する人もいるだろう。そして、ファミマのコーヒーは、同じ料金でスタンダードの味と濃いめの味を選べるということを知る。次に飲むときに、今日は濃いめを飲みたいと思ったら、セブンイレブンやローソンを選ばないでファミマを選ぶ人も出てくるだろう。これはすぐれたカスタマーインターフェースであると同時に、立派なマーケティングである。
是非一度、ファミマのコーヒーマシンで確認してみてください。